わたくし一休、秋田市周辺にある廃墟同然のボロ戸建てを内覧して来たのでご報告。
秋田市周辺とは言え、秋田駅から車で40分程度の距離。
雄和や河辺など、平成の合併で秋田市になった地域と同じくらいの距離ですので、ほぼ秋田市と言っても差し支えありません。
参考:平成の合併前の秋田市(雄和町と河辺町が秋田市に編入)
廃墟同然のボロ物件の内覧から、学ぶべきことがたくさんあったので記事にすることにしました。
参考:廃墟不動産投資法というジャンルが存在します。提唱者の村上氏のコンサル生による実践記録も一読の価値あり。
築50年ほどで15年以上空き家の物件
訪問した物件は、築50年ほどのボロ戸建て。
人が住まなくなってから15年以上が経過している状態でした。
所有者の方は、遠方にお住まいのようで、物件の管理が行き届いているとは言い難い状況。
事前に写真で確認していたイメージより、現地で見た建物はかなり傷んでいる様子が見てとれました。
ボロ物件の外観からわかったこと
ボロ戸建てを現地視察する際、外観からわかる情報はたくさんあります。
(関連記事:ボロ戸建ての現地を見に行くと分かること)
今回のボロ戸建ては、秋田市郊外に所在することもあり、田舎で住む上で必須の駐車場は2台分は確保できそう。
不可欠な設備の駐車場の次は、建物本体をチェック。
割れた窓ガラスは、一部補修されているものの、手入れが追いつかず放置されている部分もありました。
隙間となった窓部分からは、風雨が容赦なく吹き込み、建物を内部から劣化させます。
さらに、玄関脇の縁側から伸びた庇(ひさし)は雪の重みで大きくひしゃげている状態。
(関連記事:雪国では積雪で屋根外壁が傷む)
戸建てから50mほど離れて屋根を見てみると、屋根が中央部分で凹むようにゆがんでいました。
近年、大雪の年が続いた秋田県。秋田市近郊も例外ではありません。
トタン屋根のペンキ塗り直しなどの手入れをせず15年以上放置となると、落雪時の摩擦でペンキがはげて屋根の防水性が低下することでしょう。
(関連記事:2階建てボロ戸建てを足場なしでDIY塗装した記録)
加えて、屋根から雪の滑りも悪くなり、ボロ戸建て本体に雪の重みがどんどん加わることになります。
その結果として屋根が歪んでしまったものと考えられました。
内装は外観以上にボロボロの廃墟
物件内部は、外観でイメージしていた以上の劣化具合。
外観は、屋根などに手を入れれば、人が住めないことはないかな、という程度でしたが、内装は遥かに凌駕するボロ具合。
和室の天井は抜け落ち、天井板からはなぜか土がこぼれ落ち、畳の上に散乱しています。
一瞬ネズミの糞かと思いましたが、臭気がないことと物体の質感から、土であると判断。
建物の屋根から土がこぼれ落ちてくる原理は不明ですが、廃墟同然の物件ではこのようなこともあるのだという経験になりました。
キッチンとなりのリビングでは、床が腐って抜け落ちていました。
まともに床を歩くことができず、引き戸もレールごと地面に向かって引き込まれるように歪んでいます。
通常、引き戸の下には大引(おおびき)と呼ばれるレールを支える柱上の木材が横たわっていると推定されますが、それが見当たりません。
あって然るべき建材が入っていないので、これは施工不良もしくは手抜き工事なのでは?
と建築素人ながらに想像しながら内見を進めます。
玄関の土間に戻り、2階へ続く階段の手前に進んでみました。
この部分も床が腐り落ち、足の置き場がありません。上を見上げると天井が崩落しており、屋根を支える垂木(たるき)が目視できました。
この部分は、天井と床の腐敗がひどいので、屋根から雨漏りがあったものと推定される状況。
今にも踏み抜きそうな階段をドキドキしながら2階へ上がると、床はブヨブヨ、天井のボードはところどころ抜け落ちていました。
白い天井ボードが部分的に落ちているため、ピアノの鍵盤のような雰囲気。
点検口を探す手間が省けてこれ幸いと、天井裏にスマホを突っ込んでフラッシュ撮影。
すると、屋根そのものに大きな穴は空いていなさそうな様子がわかりました。
さらに見ていくと、天井ボードの裏側に蜂の巣を発見。
幸いボロ戸建て本体同様に空き家の状態だったので、蜂に攻撃されることはありませんでした。
街中と違って、自然豊かな郊外にはこのような野生動物のリスクもあります。
さらに建築設備も、不人気な汲み取り式トイレ(ボットン)、浴槽は人が膝を折ってようやく入れる狭さ、シャワーなしという状況。
外観が家の体(てい)をなしているだけに、内装がここまでひどいとは想像の斜め上をいかれた心持ちでした。
人の手が入らないと戸建ては痛む
築50年ほどといえば、秋田市のボロ戸建てとしては決して古すぎるわけではありません。
築70年で敷地内で死亡事故があった心理的瑕疵物件のボロ家が、200万円前後で売られてます。
しかし、家は人が住まなくなり手が入らなくなると急に傷みが進みます。
築50年でも適切に手入れされてきたものと、放置されて15年経ったものでは雲泥の差が生じることを実感したこの日。
ボロ戸建てを選んでいくに当たり、貴重な経験となりました。
内外装や設備など試算した結果撤退
現実味はありませんが、実際にリフォームして住むことをシミュレーション。
屋根の葺き替え、外壁の貼り直しで200から300万円ほどかかると見積もり。
内装は床組からやり直し、天井も打ち直しになります。
トイレを水洗化、浴室も入れ替える必要があります。
井戸水の可能性もあり、下水は未接続なので水道工事の支出も上乗せされます。
(関連記事:汲み取り式トイレから水洗化する選択肢)
これらを考えると、ボロ戸建て投資1棟めとしてはハードルが高すぎると考えて断念。
ボロ物件上級者ならありかもしれませんが、売れ残っているにはそれなりの理由がありそうです。
放置されていた仏間に向かって合掌。内覧終了としました。
関連記事:廃墟不動産投資の実践記録の紹介