取引業者とのやりとり

【心理的瑕疵物件のボロ戸建て】秋田市内の推定築75年で敷地内で死亡事故歴あり物件を内見

心理的瑕疵物件(しんりてきかしぶっけん)という言葉があります。

自殺や殺人事件があった物件を賃貸や売買する際、告知する義務が発生する場合があるのです。

告知基準について明確に示されてこなかった経緯があり、判例によって様々なケースが積み上げられています。

(円滑な不動産取引のため、令和3年10月に国によって人の死の告知に関するガイドラインが作成されました。)

わたくし一休が1棟めボロ戸建てを探す中で、ある心理的瑕疵物件を内見しましたので記事にします。

参考:事故物件とは(wikipediaより)

国による告知ガイドラインの作成経緯

冒頭でも述べたとおり、従来は宅建業者による事故物件の告知に関する明確な基準がありませんでした。

基準がないことにより円滑な不動産取引が阻害されていた状況を受け、国土交通省は令和3(2021)年10月に、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定。

これにより、心理的瑕疵物件を取り扱う宅建業者に対して、調査や告知に関して一定の基準が示されました。

以下、国が作成したガイドラインの概要を一部抜粋します。

・取引の対象不動産で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)については、原則として告げなくてもよい

・賃貸借取引の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死以外の死が発生し、事案発生から概ね3年が経過した後は、原則として告げなくてもよい。
引用:「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」、国土交通省、2021年10月

今回、一休が内見した物件については、自己発生から3年以上が経過していることから、ガイドライン以上の配慮がされていたと言えるでしょう。

空き家バンクで安い物件を発見

秋田市空き家バンクで比較的安いボロ戸建てを発見しました。

他の物件よりも数百万単位で安く、価格順でソートをかけると最も安いボロ戸建て。

それでも、150万円以上はしたので、ノールックで買付を入れるには躊躇する金額です。

ボロ戸建て探しのため、不動産屋に飛込み営業をしていた時期に発見したボロ戸建て。

仲介業者を調べると、訪問したことのある不動産屋だったのでさっそく電話。

不動産屋を訪問して内見の申込みをしました。

物件マイソクに心理的瑕疵物件の記載

内見してみたい旨を伝えると、マイソクと呼ばれる物件情報を書いた紙をもらいました。

マイソクに書かれた物件概要を確認していくと、「心理的瑕疵物件」の記載あり。

不動産投資本でよく出てくる自殺や殺人事件でもあったのか、と思わず身構えます。

担当営業に確認すると、どうやらさほど物騒な話ではないようです。

ボロ戸建て所有者の方の父親が、庭に生えた30mはある大きな木の剪定作業中に墜落して亡くなられたようでした。

念のため、事故物件情報提供サイトの大島てるでチェックしましたが、情報掲載はありませんでした。

(秋田市でも過疎化が進む地域なので、大島てるを知っている人自体いなさそうです。)

トラブル回避のため約40年前の死亡事故の開示

よくよく話をきいてみると、なんと40年ほども昔の死亡事故だったようです。

そんな昔のこと気にする人間いるのかよ、と思いつつ担当営業から話をききます。

登記事項証明書の内容では、売主が物件を相続で取得したのがおよそ40年前。

前所有者が木から転落して亡くなった父親で、その子が相続でボロ戸建てを取得したのでした。

40年前の死亡事故ではありますが、後々トラブルを回避するため不動産屋は積極的に情報開示しているとのこと。

近隣住民へのヒアリングを実施

大昔の40年前のことを覚えている人は地域にいるのか。

そんな疑問を解消すべく、お向かいさんにヒアリングを実施。

ちなみにこちらの物件、家を取り囲む4方向のうち3軒は空き家という過疎地域。

秋田市の中でも少し郊外にあり、閑静な住宅街に位置していました。

畑仕事をしていたお向かいのおばあさんに声をかけます。

「すみません、向かいの戸建てを買って貸家にしようと思っている一休と申します。

昔、木から人が落ちて亡くなったそうですが覚えていますか?」

するとおばあさんは、そんな事もあったな、という程度のリアクション。

あまりはっきりと覚えていない様子でした。

不動産業者にもヒアリング

さらに仲介している不動産業者以外の不動産屋にもヒアリングを実施。

結論としては、リフォームして貸し出すにあたり、影響が出るという意見が75%を越えました。

プロフェッショナルの賃貸仲介として、大昔のこととは言え影響が出ませんよとは言いにくい面もあるでしょう。

傾きあり汲み取り便所で見送り

こちらの推定築75年のボロ戸建て、結果的に購入は見送りました。

内見したところ、家は東西2方向に向かって傾き、そのまま引き裂けて崩れ落ちるのではないかというボロさ。

さらにトイレは汲み取り便所、浴室のドアはベニヤ板にペンキを塗った代物。

ある意味、浴室ドアなんてベニヤにペンキを塗れば機能するという学びにはなりました。

しかし、初心者が1棟めのボロ戸建てとして手を出すにはハードルが高すぎると判断。

心理的瑕疵物件以外にも何かとハードル高めのボロ戸建てだったのでした。

※事故物件の清掃はプロの特殊清掃に依頼して処理されていることもあります。