秋田の投資戸建て購入記

2号目となる築61年のボロ戸建てを購入し所有権移転のため法務局でセルフ登記申請した

わたくし一休が、秋田県内に購入することになった2棟めのボロ戸建て。

前回記事でご紹介したとおり、再建築不可で難ありなので5万円で購入できることに決定。

無事に契約と決済を同日に済ませ、その日のうちに所轄法務局へ行き所有権移転登記の申請を実行しました。

セルフで行う登記申請に必要な書類について、実践した体験を元に解説します。

公簿売買で所有権移転登記

今回一休が購入するボロ戸建ては、築61年の築古物件。

公簿売買にて売主から5万円で譲ってもらうことになりました。

公簿売買とは、土地の面積を明確にするための測量などを行わず、登記簿に記載されている表示面積をもとに土地の売買を行う取引のこと。
土地家屋調査士に支払う測量費用をコストカットすることが可能。

この物件を紹介してくれた不動産屋は、とにかく賃貸に興味がなく、再建築不可で一般向けに販売できないこの物件をすぐにでも片付けたい様子。

一休としては、なるべく面倒なことは言わず、ボロ物件に関するリスクは許容するスタンスでスピーディに取引を完了させようと考えました。

とはいえ、物件に関する最低限必要な情報は収集したいので、登記簿謄本その他を確認していきました。

ところが、登記簿上では正確な建築年数が判明しませんでした。

関係書類を調べた結果、固定資産税課税通知に記載された昭和36年という数字が最も古いため、その年を建築年と考えることにしました。

所有権移転登記に必要なものリスト

法務局のホームページに、買主が売主の申請代理人となって所有権移転登記を行う場合に必要となる書類を記載例つきで掲載しています。

PDFデータで閲覧可能ですが、必要な書類を漏れなくチェックするため、プリントアウトして紙媒体で用意しつつセルフ登記申請書類を作成。

所有権移転のセルフ登記に必要な書類は以下のとおり。

  • 登記申請書
  • 収入印紙添付用紙(A4の白紙)
  • 登記識別情報(土地・建物)
  • 登記識別情報を入れる封筒
  • 不動産売買契約書(全部コピー)
  • 物件代金を振込んだスマホ画面のキャプチャ
  • 委任状
  • 売主の印鑑登録証明書
  • 買主の住民票
  • 固定資産評価証明書

なお、売買契約書の写しと物件代金の振込画面を提出するより、後述する登記原因証明情報を法務局様式で作成する方が簡単であると登記申請後に判明しました。

コピーして割印するなど不要な手間を省くため、登記原因証明情報は法務局の記載例に従って作成しましょう。

登記書類作成のポイントと注意点

登記申請書の作成

法務局の記載例にそって、順番に登記申請書の必要事項を記入していきます。

買主である一休の名前を権利者、売主の名前を義務者として記載。

登記申請書登記申請書

今回は売主が相続してから2年ほどだったため、必要書類である登記識別情報は揃っている状態。

そのため登記申請書の「登記識別情報を提供することができない理由」はチェック不要。

また、登記が完了した後には、当然一休の所有物になったことを確認するため、「登記識別情報の通知を希望しません」にはチェックを入れないように気をつけます。

売買契約と代金の振込日が未確定だったため、申請年月日は空欄にしておいて、セルフ登記申請の直前に手書きで記入

申請先の法務局の支局名を記載します。

「申請人兼義務者代理人」には、買主である一休の住所と名前を記入します。

この住所と名前は、権利者と一致している必要があり、同時に提出する住民票とも同じである必要があります。

課税価格には、登録免許税に関する数字を記入していきます。

今回は土地と建物の売買となるため、土地と建物を2段に分けて記載。

売主から事前に提供を受けていた、令和4年度分の固定資産税の課税通知に記載されている評価額を元に記載します。

固定資産税の評価額固定資産税の評価額

土地は一筆なので、評価額の2,873,946円の千円未満を切り捨てして、2,873,000円とします。

建物については、居宅163,251円と附属する建物である物置9,370円があります。

建物が複数ある場合、それらの評価額を合計してから千円未満を切り捨てます。

163,251円+9,370円=172,621円

切り捨てすると172,000円となるので建物の課税価格に記載します。

土地と建物を合計した金額も併記。

課税価格で計算した金額に、税率をかけ合わせて登録免許税額を算出します。

土地と建物で税率が違うので注意しましょう。

租税特別措置法の規定により、土地の税率は1000分の15。(登記申請した2022年10月時点での軽減税率です)

建物は軽減税率はなく、1000分の20。

それぞれを課税価格に掛け合わせて税額を算出。

土地と建物の税額を合計してから100円未満を切り捨てします。

※合計する前に100円未満を切り捨てすると税額を間違えることになり、後で補正が必要になるので注意が必要です。

実際に計算してみます。

土地の登録免許税
課税価格2,873,000円×税率1000分の15=43,095円

建物の登録免許税
課税価格172,000円×税率1000分の20=3,440円

合計
43,095円+3,440円=46,535円

百円未満切り捨て(納税額)
46,500円

不動産の表示については、不動産番号を記載すれば土地と建物の詳細を省略することが可能です。

不動産屋からもらっていた登記簿謄本に記載されている不動産番号を記載し、省略する項目については「省略」と記載しました。

登記申請書登記申請書

申請書のいちばん下に不動産の表示の記載があります。

収入印紙添付用紙(A4の白紙)

登記申請書と綴って提出する書類として、収入印紙用の添付台紙があります。

ただのA4のコピー用紙を1枚用意しただけです。

登記申請書とホチキス留めし、ひとつづりの書類であることを示すために割り印を押します。

登記申請人である一休の印鑑を使用します。

申請書と台紙を綴って割印申請書と台紙を綴って割印

登記識別情報(土地・建物)

登記識別情報は、登記が完了した際に法務局から発行される書類。

次回の登記で使うまでは、登記に必要な部分がシールで目隠しされており剥がさないよう記されています。

また、登記識別情報を製本して買主に渡す司法書士がいるため、製本した部分を剥がすと、登記識別情報そのものが損なわれるリスクがある場合があります。

一休が登記するに際しては、製本した状態のままで提出し、登記官が必要な部分を抜き取って、登記完了後に不要部分を返還してもらうことになりました。

なお、「登記識別情報用の封筒」に入れる前に、目隠しシールを剥がすように登記官から指導されました。

「登記識別情報用の封筒」は、売主の名前と登記の種類、そして登記識別情報が在中している旨を明記する必要があります。

登記識別情報用の封筒登記識別情報用の封筒

登記原因証明情報は法務局様式がおすすめ

登記原因証明情報は、売買が実際に行われたことを証明するための書類。

おすすめの提出方法は、法務局のホームページに記載されている「登記原因証明情報の例」を参考にして作成する方法。

(※今回のような所有権移転登記を申請する場合、「4)所有権移転登記申請書 (売買)」の項目にある、「・記載例(一太郎 Word PDF)」を開くと登記原因証明情報の記載例を確認できます)

売主と買主の両方の押印が必要ですが、後述する契約書をコピーする方法だと書類全部をコピーして割印が必要な上、領収書も必要となります。

それに対して、上記の法務局様式を使えば書類1枚で事足りるので便利です。

登記申請書類の補正について一休に指導した登記官の話によると、司法書士が提出するのも法務局の登記原因証明情報の参考様式を使ったものが多いそうです。

登記申請書類について十分に調べず作成した一休は、「不動産売買契約書があるんだから、コピーでよいだろう」と考えて後述するとおりに契約書の一部をコピーして提出。

書類の不備を指摘されて補正することになってしまったのです。

【書類不備で補正】契約書は全部のコピーと原本提出

今回の所有権移転登記における失敗点がこちら。

登記原因証明情報について、不動産売買契約書のコピーの一部を提出して不十分と登記官から指摘された次第。

補正の際に提出した書類は、不動産売買契約書全部をコピーしホチキス留めし、全ページの境目に割印を押すことになりました。

その上で、表紙に「原本と相違ないことを証明する」という文言を記載して、署名押印するという形で補正。

さらに、契約金額が振り込まれたことを証明する種類として、ネット銀行の振込画面のスクリーンキャプチャの提出を求められました。

スマホをスクリーンキャプチャして、コンビニでPDFデータプリントして法務局へ提出したのです。

ちなみに、今回失敗したきっかけは以下のとおり。

セルフ登記申請の直前に不動産屋で決済した際、登記申請書に添付する不動産売買契約書のコピーはどの部分が必要かを聞いてみました。

司法書士によって、若干違いはあるものの、不動産の表示がある部分と金額、売主と買主が分かる部分のコピーだけでよいという司法書士もいるとのこと。

その助言を元に売買契約書の一部のみをコピーして法務局へ提出したのですが、後から考えると、司法書士は契約書を基に法務局様式を使って登記原因証明情報を作成しているのです。

この点を十分に検討しなかった一休の書類作成の甘さが招いた不備ということになります。

委任状は不動産の表示を省略不可

登記申請書では、不動産番号を記載することによって、詳細(土地の場合は所在、地番、地目、地積。建物の場合は、所在、家屋番号、種類、構造、床面積)を省略することができました。

しかし、委任状では詳細を省略することはできません

登記官に省略不可であると電話で確認したため、売主の実印を押してもらう必要がある委任状には不動産の表示を登記事項のとおりに記載します。

(書類不備により売主の手間を増やさないため、委任状の作成は慎重に行いました)

不動産屋経由で登記書類を依頼

上記の書類のうち、売主の押印が必要なものについては、一休が全て書類を作成しました。

押印するだけの状態にして、売買仲介の不動産屋が売買契約書と重要事項説明書を売主に送る際に同封してもらいました。

具体的には以下の書類です。

  • 委任状(法務局提出用)
  • 委任状(市役所税務課用)

市役所税務課用の委任状は、固定資産税の評価証明書を取得するために必要となります。

税務課に確認したところ、特に様式の指定がなかったので自作。

送付状を自作して、高齢の売主でもわかりやすいように配慮し、印鑑証明書と登記識別情報と併せて不動産屋に返送してもらうよう依頼しました。

売主への送付状売主への送付状

法務局で収入印紙を購入して書類完成

セルフでの所有権移転登記の登記申請書を提出する当日。

法務局にて収入印紙を購入。

登記申請書に記載したとおり、46,500円分の収入印紙を現金で支払いました。

登記申請書にホチキス留めして割印をした、収入印紙用の台紙(ただのA4コピー用紙)に印紙を貼付します。

その際、登記官から以下のとおり助言あり。

「特に決まりはありませんが、印紙は縦に並べて貼ってもらえると助かります。」

反発しても良いことは何もありませんので、言われたとおりに縦一列に印紙を貼って提出しました。

補正がなければ3営業日ほどで完了予定

2022年10月24日に提出した登記申請書。

補正がなければ、10月27日の朝イチで処理完了した書類の受け取りが可能とのこと。

「登記申請書受付票」という紙を登記官から受け取りました。

登記申請受付票登記申請受付票

実際には、10月25日に契約書コピーに関する不備が指摘され、その日に補正書類を提出。

補正時に対応された登記官によれば、書類不備があるので、審査にもう1日かかるとのこと。

不備があれば、それを補正するまで処理が滞るのは当然ですね。

補正した書類は、登記官による再チェック、別の職員(校合官)による校合処理を経て登記完了となる見込み。

問題がなければ(法務局から連絡がなければ)、10月28日の朝イチには登記識別情報などを受け取り可能になります。

関連記事:1棟め購入時に司法書士へ登記申請書類のコピー提供依頼した話

【2022.11.9追記】
登記申請は1回の補正で無事完了。

売主には書類の修正や追加提出を依頼することなくセルフ登記を完了させることができました。

今回購入した2号目の再建築不可ボロ戸建て、売買仲介してくれた不動産屋がなんと入居希望者を紹介してくれました。

2号ボロ戸建ての入居者決定までの流れはこちら